分野別実務修習のガイドラインのうち,検察に関するものを以下のとおり貼り付けています。
1 検察の分野別実務修習における指導目標・指導方法
(1) 司法修習においては,法曹として活動を開始するに当たり必要な事実調査能力,法的分析能力,事実認定能力,書面や口頭による説得的な表現能力等を修得させることに重点をおいて指導するものとされ(司法修習生指導要綱(甲)第1章第2),検察の分野別実務修習の指導目標は,具体的事件の取扱いについて検察官の立場で修習することを通じて,法曹として必要な基本的知識や技法を修得させるとともに,検察官の使命と役割,検察官として必要な心構え及び検察の実務を理解させることとされている(同第2章第1・4⑵ア)。
(2) 検察の分野別実務修習における指導方法は,事件の捜査については,事案の真相を解明するための犯罪捜査の在り方,証拠収集及び取調べの要領を中心に指導し,事件の処理については,事案の真相の把握,見通しの体得,証拠の価値判断,事件報告の要領,起訴・不起訴処分決定の在り方等を重点として指導し,法曹として必要とされる的確な判断力を養成することを主眼とし,公判の立会については,検察官の公判立会を傍聴させるほか,立証方針の策定,提出証拠の整理,裁判所に提出する書面の作成,尋問技術など,公判立会の要領を指導すること等とされている(司法修習生指導要綱(甲)第2章第1・4⑵イ,分野別実務修習における各分野の指導準則第2・2(2)ないし(6))。
2 捜査実務修習について
(1) 司法修習生に対し,少なくとも3件の具体的な事件について,捜査実務修習を行わせるように努める。
ア 前記1の指導目標を達成するには,できるだけ多くの実際の事件に基づいて,流動的な証拠関係を前提とした捜査方針の策定,証拠収集及びその結果を踏まえた事実認定上・法律上の問題点の検討等を体験的に学ばせることが,効果的である。
そのため,司法修習生に対し,少なくとも3件の具体的な事件について,捜査実務修習を行わせるように努める。
イ 修習生には,進行中の事件(在宅,身柄を問わない)の取扱いを可能な限り体験させるよう努めることとするが,各庁の実情に応じて,以下の(ア)又は(イ)の方法で指導することにより,具体的な事件についての捜査実務修習を行うことができる。
(ア) 同一の事件につき,複数の修習生に合同で捜査実務修習を行わせる方法
(イ) 確定事件の記録を用いる方法(例えば,手続の各段階における捜査方針の検討,事実認定上・法律上の問題点の検討,模擬取調べを実務に即して行わせるなど。)
(2) 捜査実務修習における指導の内容として,司法修習生に対し,具体的な事件について,以下の点に留意しつつ,事案の真相解明のための捜査方針(証拠収集及び取調要領)の検討,捜査(証拠収集,取調べ)の体験,終局処分の在り方(事案の真相の把握,予想される争点を見越した証拠の評価・事実認定,法令の適用,事件報告,起訴・不起訴処分の決定等)の検討等を行わせる。
ア 前記1(1)記載の指導目標に照らして,当該事件で実施するのが相当と考えられる事項について指導を行う(各事件につき全ての事項の指導を行う必要はない。)。
イ 身柄事件について捜査実務修習を行わせる場合は,被疑者の逮捕・勾留をめぐる問題点等,身柄事件に伴う捜査上の留意点についても検討等をさせるように配慮する。
ウ 修習生に,少なくとも1回は,指導係検事等の指導の下,進行中の事件の被疑者又は参考人の取調べにおいて,取調事項の全部又は一部について,自ら発問を行うことを体験させるように努める。
エ 各庁の実情に応じ可能であれば,指導係検事又はいわゆる里親検事が行う捜査に立ち合わせ,その指導を受けさせるように努める。
3 公判実務修習について
(1) 各司法修習生に対し,少なくとも1件の具体的な事件について,公判実務修習を行わせる。
ア 前記1(1)の指導目標を達成するには,実際の事件に基づいて,公判における争点に即した立証方針の策定,証拠整理・証拠開示,証人尋問の準備等の公判準備,冒頭陳述・論告等の主張検討等を体験的に学ばせることが,効果的である。
そのため,司法修習生に対し,少なくとも1件の具体的な事件について,公判実務修習を行わせるように努める。
イ 修習生には,公判係属中の事件の取扱いを可能な限り体験させるように努めることとするが,各庁の実情に応じて,以下の(ア)又は(イ)の方法で指導することにより,具体的な事件についての公判実務修習を行うことができる。
(ア) 同一の事件につき,複数の修習生に合同で公判実務修習を行わせる方法
(イ) 確定事件の記録を用いる方法
(2) 公判実務修習における指導内容として,司法修習生に対し,具体的な事件について,証拠整理・証拠開示,裁判所提出書面(証拠等関係カード,証明予定事実記載書面,冒頭陳述,論告等)の起案,公判準備(裁判員裁判の公判リハーサル,証人テスト等)への立会い,公判前整理手続,公判手続の傍聴,控訴審査等への立会い等を行わせる。
なお,捜査実務修習の指導の場合と同様,前記1記載の指導目標に照らして,当該事件で実施するのが相当と考えられる事項について指導を行う(各事件につき全ての事項の指導を行う必要はない。)。