分限裁判及び罷免判決の実例
第0 目次
第1の2 分限裁判の実例2/7(旅費不正の監督不行届)
第1の3 分限裁判の実例3/7
第1の4 分限裁判の実例4/7(寺西判事補事件)
第1の5 分限裁判の実例5/7(古川龍一事件)
第1の6 分限裁判の実例6/7
第1の7 分限裁判の実例7/7(岡口基一事件)
第2の1 裁判官分限法
第2の2 裁判官の分限事件手続規則
第3 罷免判決の実例
第4 新63期の華井俊樹裁判官に対する平成25年4月10日付の罷免判決
第5 昭和57年10月7日の,矢口洪一最高裁判所事務総長の国会答弁
*0 昭和24年7月16日発生の最高裁判所誤判事件では,三淵忠彦最高裁判所長官が,同年10月17日,誤判に関与した4人の最高裁判所判事に対して辞職勧告をしたものの,4人とも辞職しませんでした。
そのため,最高裁大法廷昭和25年6月24日決定(裁判所HPには掲載されていません。また,朝鮮戦争の発生前日に出されたものです。)により過料1万円の懲戒処分を受けました。
*1 以下の記事も参照してください。
① 裁判官の職務に対する苦情申告方法
② 法務省出向中の裁判官の不祥事の取扱い
③ 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容
*2 以下の資料を掲載しています。
① 国家公務員の服務・懲戒制度(平成24年度版)
② 国家公務員の服務・懲戒制度(平成29年度版)
③ 裁判所職員倫理審査会規則(平成12年2月10日最高裁判所規則第5号)
④ 下級裁判所の裁判官の倫理の保持に関する申合せ(平成12年6月15日付の高等裁判所長官申合せ)
*3 裁判所の一般職職員(例えば,裁判所書記官,裁判所事務官及び家庭裁判所調査官)に対する懲戒の公表基準については,裁判所HPの「懲戒処分の公表指針」に載っています。
*4 罷免判決につき,裁判官訴追委員会HP及び裁判官弾劾裁判所HPが参考になります。
*5 衆議院HPに「裁判官弾劾裁判所及び裁判官訴追委員会に関する資料」(平成25年5月に衆議院憲法審査会事務局が作成した資料)が載っています。
*6 「分限裁判の記録 岡口基一」ブログに,岡口基一裁判官の分限裁判に関する書類が掲載されています。
*7 内閣官房HPの「国家公務員の服務・勤務時間」に,国家公務員倫理法,一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律,育児休業,育児短時間勤務,自己啓発休業,配偶者同行休業に関する資料等が載っています。
*8 平成30年8月28日付の司法行政文書不開示通知書によれば,分限裁判の手続を定めた内部のマニュアルは存在しません。
*9 弁護士を含む士業の懲戒については,「弁護士の懲戒」を参照してください。
*10 古川龍一事件及び岡口基一事件のように,高等裁判所裁判官に対する分限裁判については,最高裁判所が一審かつ終審の裁判所として分限裁判を行います(裁判官分限法3条2項1号)。
これに対して明治憲法時代では,控訴院長及び控訴院部長以外の控訴院判事については,控訴院が第一審となり,大審院が終審として懲戒裁判をしていました(判事懲戒法15条第2)。
第1の1 分限裁判の実例1/7(昭和時代)
① 同日午後10時45分ころ,宿泊先の留萌市所在のホテル一1階フロント内にいた夜警員にからみ,これを相手にしないでその場から逃がれようとした同人をフロントからロビーに引き出した上,いきなり,同人をその場に転倒させ,よって同人に対し約2週間の通院加療を要する左側胸部挫傷・左中指捻挫の傷害を負わせ,
② その後間もなく自室に戻ろうとした際,誤って宿泊客2名が在室している2階の部屋のドアを開け,同室内のベットに横臥中の同人の胸元に所携のキーホルダー及び火のついた煙草を投げつけ,
③ その結果一階ロビーにおいて宿泊客らから②の行動につき抗議されていた際,自分の前に立つていた男性を投げとばしてその場に転倒させ,よって同人に対し約5日間の加療を要する腰椎捻挫・右下腿部挫傷の傷害を負わせた事例
被申立人は、東京地方裁判所民事第20部(破産部)に所属していた同51年10月12日新日本興産株式会社に対する破産申立事件につき、担当裁判官として同会社の破産宣告の決定をし、同時にその破産管財人に弁護士井上恵文を選任し、同52年3月末ごろ同裁判所の他の部に転ずるまで、当該破産事件を担当してその手続に関与したものであるが、その後同弁護士において、当該破産財団に属する栃木梓ゴルフ場を換価処分するにつき、自ら新会社を設立したうえ、同会社に右ゴルフ場を買い取らせてこれを経営することを計画し、同55年夏ごろ、同弁護士から被申立人に対してもその買受資金を調達するについての協力を要請されたので、被申立人はこれに応ずることとし、同弁護士の右資金調達に協力する意思をもつて、
第一 昭和55年8月28日東京都港区赤坂二丁目二番十九号アドレスビル八階井上恵文法律事務所において、同弁護士に対し、現金300万円を交付してこれを貸与し、
第二 その際同所において、同弁護士に対し、同弁護士が銀行から融資を受けるに当たり、自己所有の別紙物件目録記載の各土地を担保に提供することを承諾のうえ、右各土地のうち(イ)(ロ)(ニ)の分の登記済証及び被申立人の署名押印のある白紙委任状を交付し、よつて同弁護士をして所定の手続をとらせ、同年9月30日株式会社協和銀行との間に、右各土地につき、根抵当権者を同銀行、債務者を井上恵文、債権極度額を一億円とする根抵当権設定契約を締結するとともに、前記(イ)(ロ)の各土地については同年10月3日、(ニ)の土地については同月8日、それぞれ右根抵当権の設定登記手続をし、
第三 そのころ同弁護士に対し、同弁護士が銀行から融資を受けるに当たり、保証することを承諾のうえ、必要書類に署名押印してこれを交付し、よつて同弁護士をして所定の手続をとらせ、同年9月30日同弁護士が右協和銀行との間で金五千万円の金銭消費貸借契約を締結するに際し、同銀行に対し、右契約に基づく同弁護士の債務の保証をし、
第四 同年9月22日鶴岡市所在の株式会社山形銀行鶴岡支店から株式会社第一勧業銀行赤坂支店の井上恵文の口座に、妻名義で金300万円の送金をして、これを同弁護士に貸与した」事例
第1の2 分限裁判の実例2/7(旅費不正の監督不行届)
○会計検査院検査報告データベースの平成2年度決算検査報告の「旅費の経理が適正を欠くと認められるもの」には以下の記載があります。
第1の3 分限裁判の実例3/7
第1の4 分限裁判の実例4/7(寺西判事補事件)
1 最高裁大法廷平成10年12月1日決定が認定した,懲戒の原因となる事実は以下のとおりです。
2 寺西判事補事件では,戒告となった抗告人寺西和史の代理人が1244人いました。
3(1) 憲法学習用基本判例集(須賀博志)HPに「仙台高裁平成10年7月24日決定(裁判官懲戒処分事件)」,及び「最高裁大法廷平成10年12月1日決定(裁判官懲戒処分事件)」が載っています。
(2) 仙台高裁平成10年7月24日決定には,平成10年5月19日の第1回審問期日に関して,「開始早々、被申立人の代理人らが相次いで立ち上がり、本件の審理を一般公開にするか、少なくとも報道関係者の傍聴を許すよう執拗に要求し、時には通常の法廷では到底聞くことのない激しい調子の言葉を浴びせながら、この要求が容れられなければ実質的な審理には絶対に応じられないという態度をとり続けた。」などと書いてあります。
また,同年6月12日の第2回審問期日に関して,「代理人らは、弁護士以外の者を含む50名余の代理人全員の入室を要求して、第1中会議室の入口付近において整理に当たっていた当庁職員に激しく食い下がり、収拾のつかない状態となった。」とか,「冒頭、裁判長が、本件審問手続を非公開とした理由を説明するとともに、主任代理人による発言整理に期待するが、手続の進め方については裁判長の訴訟指揮に従うように求める旨述べて、所定の手続に入ろうとしたところ、間髪を入れずに代理人らが相次いで発言をして、どのような順序で手続を進めるか分からないではないかとか、どうして入室する代理人の数を35名に制限したのかとか、審問を公開しない理由が依然理解できないとか、前回同様詰問調の論難を繰り返した上、異議の申立てをし、更に2件の特別抗告の申立て及び分限裁判手続執行停止の申立てをするとして、予め準備していた書面を裁判長の机上に提出したり、申立ての理由を口頭で述べ続けたりした。」などと書いてあります。
4(1) 仙台地裁が平成10年5月1日に寺西判事補の懲戒請求をしたことを受けて,日弁連は,同月22日,「寺西判事補への裁判官分限法に基づく懲戒の申立に関する会長声明」を出しました。
(2) 仙台高裁が平成10年7月24日に寺西判事補に対して戒告処分を出したことを受けて,日弁連は,同月31日,「寺西和史判事補に対する戒告処分決定に関する声明」を出しました。
(3) 最高裁が平成10年12月1日に寺西判事補の即時抗告を棄却したことを受けて,日弁連は,同月3日,「寺西判事補分限裁判の最高裁決定に関する会長声明」を出しました。
5(1) ちなみに,昭和45年6月18日,法務大臣が,法制審議会に対し,満18歳以上20歳未満の者は「青年」とした上で,青年の事件についての手続の大綱は刑事訴訟法その他一般の規定によるものとする少年法改正要綱を諮問したこと(NHK解説委員室HPの「「少年法改正議論 年齢引き下げの是非」(時論公論)」参照)に対し,同日,当時の東京家裁所長であり,病気療養中であった宇田川潤四郎裁判官(昭和45年8月4日死亡。昭和24年1月1日から昭和32年1月4日までの間,最高裁判所家庭局長をしていました。)が,石田和外 最高裁判所長官に対し,「我々東京家庭裁判所の裁判官一同は,日々少年審判の実務を担当している経験と良心に基づき,本要綱が企図する少年法の根本的改正には,別紙の理由によりとうてい賛成することができない。」などとする反対意見を送りました(家庭裁判所物語192頁及び193頁,並びに「少年の健全育成と年齢の引下げ」参照)。
(2) このような東京家裁所長らの行為は積極的な政治運動に当たらないものの,寺西和史判事補の発言が積極的な政治運動に当たるというのは変である気がします。
第1の5 分限裁判の実例5/7(古川龍一事件)
○平成13年3月14日付の最高裁判所調査委員会報告書を含む関連資料が江田五月前参議院議員のHPの「福岡事件について」に掲載されています。
その後も平成12年12月22日,同13年1月9日,同月29日及び同月31日に園子を被疑者とする令状請求があり,渡辺首席書記官は,自ら令状請求関係書類の相当部分を3部コピーし,松元事務局長がコピー2部を受け取った上,1部を土肥事務局長に交付し,報告した。被申立人は,同事務局長から令状請求があった事実の報告を受けた」事例
平成12年12月13日,福岡簡易裁判所に対し,古川龍一福岡高等裁判所判事の妻である古川園子を被疑者とする差押許可状の請求があった。担当書記官は,被疑者が古川判事の妻であることに気付き,上司である渡辺仁士福岡地方裁判所刑事首席書記官にその旨の報告をした。同首席書記官は,担当書記官に指示して,令状請求関係書類のすべてをコピーさせた上,松元和博福岡地方裁判所事務局長に上記令状請求があり令状が発付された旨の報告をしたところ,同事務局長から依頼を受け更に2部のコピーをとって同事務局長に交付した。同事務局長は,コピー1部を小長光馨一福岡地方裁判所長に渡して報告した(コピーは,即日,同事務局長に返還された。)上,同所長の了解を得て,被申立人にコピーを1部交付し,報告した。被申立人は,コピーを受領し,保管した。
その後も平成12年12月22日,同13年1月9日,同月29日及び同月31日に園子を被疑者とする令状請求があり,渡辺首席書記官は,自ら令状請求関係書類の相当部分を3部コピーし,松元事務局長がコピー2部を受け取った上,1部を被申立人に交付し,報告した。
被申立人は,この間,松元事務局長に対し,令状請求関係資料のコピーをとって報告することの問題性を指摘せず,受領を続けた上,これを是正するための措置を執らなかった。」事例
平成12年12月13日,福岡簡易裁判所に対し,古川龍一福岡高等裁判所判事の妻である古川園子を被疑者とする差押許可状の請求があった。担当書記官は,被疑者が古川判事の妻であることに気づき,上司である渡辺仁士福岡地裁刑事首席書記官にその旨報告した。同首席書記官は,担当書記官に指示して,令状請求関係書類のすべてをコピーさせた上,松元和博福岡地裁事務局長に同旨の報告をしたところ,同事務局長から依頼を受け,更に2部のコピーをとって同事務局長に交付した。同事務局長は,コピー1部を被申立人に示して報告した上,被申立人の了解を得て,土肥章大福岡高裁事務局長にコピーを1部交付し,報告した。
その後も平成12年12月22日,平成13年1月9日,同月29日及び同月31日に古川園子を被疑者とする令状請求があり,渡辺首席書記官は,自ら令状請求関係書類を3部コピーし,松元事務局長がコピー2部を受け取り,1部を被申立人に渡して報告した上(コピーは同事務局長に返還),その了解の下に1部を土肥事務局長に交付し,報告した。
被申立人は,この間,松元事務局長に対して令状請求関係資料のコピーをとって報告することの問題性を指摘せず,報告を受け続けた上,これを是正するための措置を執らなかった。」事例
第1の6 分限裁判の実例6/7
(2) 人民日報日文版に,朝日新聞の当時の記事を引用したと思われる「痴漢事件の前神戸地裁所長を起訴猶予「社会的制裁を受けた」」(平成13年9月21日付の記事)が載っています。
(2) 弁護士ドットコムニュースに「裁判官は「クビ」にならない!? 女性に無理矢理キスしても「戒告」で済む理由とは?」が載っています。
3 名古屋高裁平成30年6月28日決定(戒告)(判決原本の不作成)
(1) 平成29年4月17日から平成30年3月30日までの間に,36件の民事訴訟事件について,民事訴訟法252条に違反して,判決書の原本に基づかずに判決を言い渡した事例
(2) 名古屋の離婚専門弁護士HPに「名古屋地裁判事の山崎秀尚氏、原本なしの「フィーリング」で判決!」(平成30年6月14日付)が載っています。
(3) 平成30年12月3日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。本件議事録というのは,岐阜地家裁の山崎秀尚判事に対する懲戒申立てを決議した,平成30年6月12日の岐阜地方,家庭裁判所裁判官会議議事録のことです。
(4) 山崎秀尚岐阜地家裁判事の分限裁判に関して最高裁が作成し,又は取得した文書を掲載しています。
第1の7 分限裁判の実例7/7(岡口基一事件)
(1)ア 「分限裁判の記録 岡口基一」ブログに,岡口基一裁判官の分限裁判に関する書類が掲載されています
イ 平成30年9月27日付の東京高裁の司法行政文書不開示通知書によれば,「東京高裁が,岡口基一裁判官が管理している「分限裁判の記録」と題するブログに関して作成し,又は取得した文書」の存否を東京高裁が答えることはできません。
(2) 岡口基一裁判官が東京高等裁判所分限事件調査委員会に提出した,平成30年6月19日付の陳述書が「陳述書(東京高等裁判所分限事件調査委員会)」に載っています。
(3) 東京高等裁判所事務局長が東京高等裁判所分限事件調査委員会に提出した,平成30年7月4日付の陳述書が「申立人から疎明資料として「報告書」が提出されました 」に載っています。
(4)ア 岡口基一裁判官に対する懲戒申立書(平成30年7月24日付)の「申立ての理由」は以下のとおりみたいです(「懲戒申立書謄本です」参照)。
被申立人は,裁判官であることを他者から認識できる状態で,ツイッターのアカウントを利用し,平成30年5月17日頃,東京高等裁判所で控訴審判決がされた犬の返還請求に関する民事訴訟についてのインターネット記事及びそのURLを引用しながら,「公園に放置されていた犬を保護し育てていたら,3か月くらい経って,もとの飼い主が名乗り出てきて,「返して下さい。」,「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら・・」,「裁判の結果は・・」との投稿をインターネット上に公開して,上記訴訟において犬の所有権が認められた当事者(もとの飼い主)の感情を傷付けたものである。
イ 「懲戒申立書謄本です」には以下の記載があります。
分限裁判は、非公開の手続なのですが、東京高裁当局は、私に事前に確認することもなく、この懲戒申立てをしたこと及びその内容を、記者レクで、マスコミにリークしてしまいました(しかも、私の夏季休暇中に)。
ウ 岡口基一裁判官は「めぐちゃん事件」に関してツイートしたために懲戒請求されましたところ,現代ビジネスHPに「置き去り犬「めぐちゃん事件」愛犬家の漫画家が憤った判決の理由」(平成30年6月2日付)が載っています。
また,キャプチャーライフHPに「放置された犬を保護して飼育 3カ月後に返還要求→また都合が悪くなったら捨てるだろうね。」が載っています。
オ TKCローライブラリーに東京地裁平成29年10月5日判決(放置された犬の飼養者に対する飼い主からの犬の返還請求が認められた事例),及び最高裁大法廷平成30年10月17日決定(裁判官がツイッター上で投稿をしたことについて戒告がなされた事例)が載っています。
カ ウエストロージャパンHPに「第155号 ツイッター投稿における言動を理由とする裁判官の分限裁判~最高裁大法廷平成30年10月17日決定~」が載っています。
2 最高裁大法廷平成30年10月17日決定(戒告)
(1) 岡口基一裁判官について戒告とした最高裁大法廷平成30年10月17日決定は,以下の判示をしています。
被申立人は,平成30年5月17日頃,本件アカウントにおいて,東京高等裁判所で控訴審判決がされて確定した自己の担当外の事件である犬の返還請求等に関する民事訴訟についての報道記事を閲覧することができるウェブサイトにアクセスすることができるようにするとともに,別紙ツイート目録記載2の文言を記載した投稿(以下「本件ツイート」という。)をして,上記訴訟を提起して犬の返還請求が認められた当事者の感情を傷つけた。
3 岡口基一裁判官は過去に2度,私的にツイートした内容に関し下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意を受けていること等
(1) 朝日新聞HPの「ツイッターで不適切投稿 岡口裁判官の懲戒を申し立て」(平成30年7月24日付)には以下の記載があります。
個人のツイッターで不適切な投稿をしたとして、東京高裁は24日、高裁民事部の岡口基一裁判官(52)について、裁判官分限法に基づき、最高裁に懲戒を申し立てた。高裁への取材でわかった。最高裁が今後、分限裁判を開き、戒告や1万円以下の過料などの懲戒処分にするかどうかを決める。
(2)ア 上記朝日新聞の報道内容は不開示情報である点で東京高裁職員にとって守秘義務の対象になる気がします(平成30年8月27日付の東京高裁の司法行政文書不開示通知書参照)が,東京高裁はなぜかマスコミ取材に回答したみたいです。
4 「特定の裁判官が,私的にツイートした内容に関し,第三者から抗議がなされた事実の有無」は不開示情報であること
5 「岡口基一裁判官に対する分限裁判」も参照してください。
第2の1 裁判官分限法
裁判官分限法
第2の2 裁判官の分限事件手続規則
裁判官の分限事件手続規則(昭和23年6月7日最高裁判所規則第6号)は以下のとおりです。
裁判官の分限事件手続規則
第一条 裁判官に対する裁判官分限法(昭和二十二年法律第百二十七号)第一条第一項の裁判及び同法第二条の懲戒に関する事件(以下分限事件という。)の申立ては、書面をもつてこれをするものとする。
前項の申立書には、当該裁判官の官職、氏名及び申立ての理由を記載しなければならない。
申立裁判所は、分限事件の申立てをしたときは、速やかにその旨を最高裁判所に報告しなければならない。
第二条 裁判所は、分限事件の申立があつたときは、速やかに申立書の謄本を当該裁判官に送達しなければならない。
第三条 申立裁判所は、その裁判所を代表する裁判官を指定して審間に立ち会わせることができる。
申立裁判所が、前項の裁判官を指定したときは、速やかにこれを裁判所に届け出なければならない。
第四条 当該裁判官は、審間に立ち会うことができる。
第五条 審間の期日は、申立裁判所及び当該裁判官にこれを通知しなければならない。
第六条 分限事件について、高等裁判所がした終局裁判に対しては、申立裁判所及び当該裁判官は、最高裁判所に即時抗告をすることができる。即時抗告の期間は、これを二週間とする。
前項の抗告は、原裁判所に書面を提出してこれをしなければならない。
第七条 特別の定めのある場合を除いて、分限事件に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第二編及び非訟事件手続規則(平成二十四年最高裁判所規則第七号)の規定を準用する。ただし、同法第四十条の規定は、この限りでない。
第八条 高等裁判所は、分限事件について終局裁判をしたときは、速やかにその旨を最高裁判所に報告しなければならない。その裁判が確定したときも、また同様とする。
第九条 裁判所は、分限事件の裁判が確定したときは、その全文を官報に掲載して公示しなければならない。
第3 罷免判決及び資格回復決定の実例
○裁判官訴追委員会が罷免の訴追をして,裁判官の罷免判決が出た事例はこれまでに9件だけであり,高輪1期以降の裁判官が対象となったのは以下の5件だけであり,その内容は以下のとおりです(裁判官訴追委員会HPの記載を参照しています。)。
→ 「罷免の裁判から5年を経過しており、請求者が留学するなどして法学の勉強を続け、法律家としての再起を望んでいること、他に適当な生計の道もないこと、罷免された後、非行のないことなどが認定でき、相当とする事由がある」ということで,昭和60年5月9日,資格回復決定が出ました。
→ 「罷免の裁判から5年を経過しており、請求者の主張する事実が認定でき、相当とする事由がある」ということで,昭和61年12月25日,資格回復決定が出ました。
→ 「罷免の裁判から7年以上を経過しており、その間、自己の過ちを深く反省し、法的素養と経験を生かしつつ弁護士として社会に貢献していきたいという確固たる意志を有するに至ったことなどから、人格の改善が認められ、相当とする事由があるとした。」ということで,平成28年5月17日,資格回復決定が出ました。
第4 新63期の華井俊樹裁判官に対する平成25年4月10日付の罷免判決
第5 昭和57年10月7日の,矢口洪一最高裁判所事務総長の国会答弁
と同時に、全国の裁判官に対しましては繰り返し自粛自戒を求めますとともに、各人が二度とこのようなことの起こらないように自粛自戒いたしまして、裁判所及び裁判官に対する国民の信頼を回復することに全力を挙げるべきであるということを呼びかけたわけでございます。
裁判所及び裁判官に対する信頼なくしては裁判に対する信頼というものはあり得ないわけでございますので、もうこのことは重ねて申し上げるまでもないところでございますが、そのことのために事務当局といたしましてあらゆる努力を今後もいたしていきたいというかたい決意を持っております。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。