司法修習生の欠席,罷免及び逮捕並びに民間労働者との比較
第0 目次
第1の2 「品位を辱める行状」があったことを理由とする司法修習生の罷免事例及び再採用
第1の3 司法修習生に関する規則第19条第2項の報告について
第1の4 最高裁判所長官に対する司法研修所長の報告義務
第1の5 司法修習生の罷免事由別の人数
第2の1 71期以降の司法修習生に対する戒告及び修習の停止
第2の2 71期以降の司法修習生に対して,戒告及び修習の停止を追加した理由
第3 司法修習生の罷免等に対する不服申立方法等
第4の1 司法修習生の欠席
第4の2 司法修習生の欠席に関する地裁所長経験者の説明
第5 司法修習生の逮捕及び実名報道(58期,67期及び71期)
第6の1 民間労働者と司法修習生との比較1/2
第6の2 民間労働者と司法修習生との比較2/2
第7 外国人技能実習生と司法修習生との比較等
第8 労働基準法1条2項及び最高裁判所長官「新年のことば」との比較
*1 司法修習生の規律等について(通知)第8の届出等の様式について(平成29年12月21日付の司法研修所長決定)を掲載しています。
*2 以下のHPも参照して下さい。
① 二回試験の不合格者数及び不合格率等
② 司法修習生の修習専念義務,兼業・兼職の禁止及び守秘義務
③ 労働法関係
④ 被疑者の逮捕
*3 司法修習生の結婚事情については, 東洋経済オンラインの「楽じゃない?イマドキ弁護士の恋愛と結婚」が参考になります。
*4 厚生労働省HPの「社会保障全般分野のトピックス」に,毎年3月下旬及び9月下旬,「厚生労働省関係の主な制度変更」が掲載されています。
*5 厚生労働省HPの「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について」には,以下のパンフレットが掲載されています。
① ハローワークでは労働関係法令違反があった事業所の新卒求人は受け付けません!
→ 平成28年3月1日以降の取扱いであり,労働基準法,最低賃金法,男女雇用機会均等法及び育児介護休業法に関する規定が対象です。
② 労働関係法令違反があった事業所を新卒者などに紹介しないでください
*6 平成30年11月7日付の司法行政文書不開示通知書によれば,司法修習生が逮捕された場合における司法研修所の対応が書いてある文書は存在しません。
*7 平成29年11月21日,東京高等裁判所の男性事務官が職員など3000人余りの健康診断のデータを持ち出したなどとして懲戒免職の処分を受けたものの,氏名及び年齢は発表されませんでした(相川哲弥ブログの「東京高等裁判所の事務官男性が職員3千人健診データ持ち出して懲戒免職。宿直勤務中に裁判所の女性用トイレに侵入も」,及び「平成29年11月21日に懲戒免職された東京高裁職員の懲戒処分書,処分説明書及び受領書(個人識別情報は真っ黒)」参照)。
*8 公務員の場合,懲戒免職された場合であっても,原則として氏名の公表はありません(人事院HPの「懲戒処分の公表指針について」,及び裁判所HPの「懲戒処分の公表指針」参照)。
*9 平成30年に発覚した裁判所における障害者雇用に係る事案(裁判所HPの「裁判所における障害者雇用に係る事案に関する検証について」参照)に関して,最高裁判所では懲戒処分がありませんでした(平成31年3月14日付の理由説明書参照)。
第1の1 司法修習生の罷免事由等
第1の2 「品位を辱める行状」があったことを理由とする司法修習生の罷免事例及び再採用
(1) 阪口徳雄修習生は,昭和46年4月5日(月)の午前中に司法研修所講堂で行われた修習終了式において,23期の裁判官志望者7人に対する任官拒否に抗議するため,司法研修所長のマイクを手にとって,「裁判官への任官を拒否された修習生7人に発言させる機会を与えて欲しい」などと発言を始めたため,約1分後に司法研修所事務局長が修習終了式の終了を宣言したという事件を発生させました。
最高裁判所は,同日午後6時から臨時の裁判官会議を開催し,「品位を辱める行状」があったということで,阪口徳雄修習生に弁明の機会を与えることなく,同人を罷免しました。
(2) 23期の裁判官志望者7人に対する任官拒否については,昭和46年4月5日午後1時半頃,23期の裁判官内定者55人のうちの40人が有志で,「青法協会員ら7人の任官拒否は思想・信条,団体加入による差別の疑いが強い。このまま裁判官として職務につくことは耐えがたい不安を感じる。不採用の理由を明らかにせよ」などとする要望書(署名者は23期裁判官内定者45人)を矢口洪一最高裁判所人事局長に提出するため,最高裁判所に赴きました。
しかし,最高裁判所は彼らが構内に入ることを拒否し,要望書を受け取りませんでした。
(3) 阪口徳雄修習生に対する罷免通知の時刻につき,昭和46年4月6日の毎日新聞朝刊では,午後7時40分頃に司法研修所事務局長から罷免通告が伝えられたと書いてあります。
昭和46年5月8日の日弁連臨時総会決議では,午後8時26分に罷免処分が言い渡されたと書いてあります。
自由と正義2018年7月号5頁には,阪口徳雄弁護士が自分で,「1971年4月5日午後8時過ぎ司法研修所の所長室で守田所長(当時)から「司法修習生の品位を汚した」ので罷免するという最高裁裁判官会議の決定書を交付された。」と書いてあります。
2 33期の男性司法修習生(昭和54年4月採用)の事例
(1) ①岐阜地裁刑事部で実務修習中の昭和55年11月8日午後1時10分頃,地元の女子高生の通学路になっている路上で,下校中の女子高生5人に下腹部を露出する卑猥な行為をしたこと,並びに②昭和49年2月及び昭和54年2月に公然わいせつ行為での検挙歴があったことにかんがみ,昭和55年11月13日(木),「品位を辱める行状」があったということで罷免されました(昭和55年11月13日の毎日新聞夕刊)。
(2) 昭和55年11月12日の最高裁判所裁判官会議議事録を掲載しています。
(3) ネットの記事によれば,33期の元修習生は毎年,再採用の申し出を出したものの,最高裁判所に拒否され続けたみたいです。
3 34期の男性司法修習生(昭和55年4月採用)の事例
(1)ア ①司法修習期間中の昭和55年6月から昭和56年6月にかけて,知り合いの女性の父親に対し,過去の扶養料を取り立てるため,この父親の自宅,職場に手紙や電話で金の支払を頻繁に求めたこと,及び②金の支払を求めた際,司法研修所の用紙や東京地裁の裁判官が使う用紙などを用いて支払を催促しており,最終的には300万円を要求したことにかんがみ,昭和56年11月25日(水),「品位を辱める行状」があったということで罷免されました(昭和56年11月30日の日本経済新聞夕刊)。
イ 昭和56年11月30日の日本経済新聞夕刊には以下の記載があります(一部,氏名を伏せました。)。
修習性が罷免されたのは,今回を含め9件。うち6件は成績不良や病気などによるもので,○○さんのように裁判所法や「司法修習生に関する規則」18条(裁量的罷免事由)1号(品位を辱める行為があった時)に基づく”強制罷免”は46年4月の阪口徳雄氏(研修所の終了式を混乱させた),55年11月の○○○○氏(破廉恥行為)に続いて3人目。しかし○○氏を除く7人はその後修習生として再採用された。
(2) 昭和56年11月25日の最高裁判所裁判官会議議事録を掲載しています。
(3) 34期の元修習生は,昭和59年4月4日に司法修習を終え,36期の弁護士になっています。
そのため,2年後に再採用してもらえたものと思われます。
4 70期の男性司法修習生(平成28年11月採用)の事例
(1) 平成28年12月,司法研修所の寮の談話室で飲食した際,同期の女性司法修習生2人にみだらな言動をしたほか,ズボンと下着を脱いで下半身を露出したため,平成29年1月18日,「品位を辱める行状」があったということで罷免されました。
(2) 外部ブログの「70期千葉修習の罷免」によれば,12月22日(木)の導入修習終了後の話みたいです。
そして,12月23日(金)がいずみ寮の退去日であったことからすれば,導入修習終了後の打ち上げでの出来事だったのかも知れません。
(3) 平成29年1月18日の最高裁判所裁判官会議議事録を掲載しています。
(4) ちなみに,水戸地検検事正(当時)は,平成23年2月14日の夜,水戸市内のスナックで酒に酔い,居合わせた客や同地検次席検事(当時)ら4人に対し,マイクで頭を殴ったり,髪の毛を引っ張ったりしました。
しかし,東京地検は,平成23年10月13日,暴行の事実はあったとした上で,「酒に酔った際の偶発的な事案で,被害者も処罰を望んでいない」として,起訴猶予にとどめました。
また,職務時間外の行動でしたから,懲戒等の人事上の処分は行われませんでした(外部ブログの「水戸地検検事正(当時。現・最高検検事)が,たたく・蹴るの暴行して。不起訴。懲戒処分無し」参照)。
5 罷免された後の再採用
(1)ア 「品位を辱める行状」があったことを理由に罷免された司法修習生が再採用を申し出た過去の先例では,①司法研修所の修習終了式を妨害したとされた23期司法修習生,及び②知り合いの女性に頼まれて家族の離婚問題に介入し,恐喝まがいの行為をしたとされた34期司法修習生については,2年度に再採用が認められたみたいです。
これに対して公然わいせつ行為を行った33期の司法修習生については,再採用が認められなかったみたいです。
イ 報道されている事実を前提とすれば,公然わいせつ行為を行った70期の司法修習生の場合,再採用が認められなかった33期の司法修習生よりも情状は軽い気がします。
(2) 昭和56年11月30日の毎日新聞夕刊によれば,司法修習生が罷免されたのは,昭和56年11月25日付の罷免を含めて9人であり,うち6人は成績不良や病気などによるものであるところ,33期の司法修習生を除く7人は,後日,再採用されたそうです。
(3) 二回試験不合格という成績不良を理由に罷免された司法修習生について再採用が認められるのは早くても1年後であることにかんがみ,それよりも情状が悪い,素行不良を理由に罷免された司法修習生については,2年後に再採用を認めるという運用をしてきたのかもしれません。
6 その余の詳細は「「品位を辱める行状」があったことを理由とする司法修習生の罷免事例及び再採用」を参照してください。
第1の3 司法修習生に関する規則第19条第2項の報告について
第1の4 最高裁判所長官に対する司法研修所長の報告義務等
第1の5 司法修習生の罷免事由別の人数
第2の1 71期以降の司法修習生に対する戒告及び修習の停止
第2の2 71期以降の司法修習生に対して,戒告及び修習の停止を追加した理由
第3 司法修習生の罷免等に対する不服申立方法等
第4の1 司法修習生の欠席
〇司法修習生の欠席承認に関する運用基準について(平成18年4月17日付の司法研修所長の通知)を掲載しています。
ただし,現在の基準については,司法修習生の欠席承認に関する運用基準(平成30年4月25日施行分)を参照してください。
○以下の記載は,ナンバリングを除き,「修習生活へのオリエンテーション」(平成24年11月)に書いてある内容を引用したものです。
1 司法修習生には,休暇という概念がありません。これは,司法修習というものが労働の提供と本質的に異なっており,他人によって代替することができないことに由来するものです。このため,「土曜,日曜,祝日,12月29日から翌年1月3日まで」の日(以下「休日等」という。)以外の日に修習できない場合には,原則として,欠席として取り扱われることになります。
2 出席を要する日の場合
カリキュラム上,出席を要するとされている日に出席しないときは,修習ができないものとして,欠席として取り扱われます。
3 自由研究日の場合
「自由研究日」は,司法研修所長又は配属庁会の長が,休日等以外の日について,司法修習生が出席及び具体的な修習課題を行うことを要しないものとして定めた日であり,病気その他この日に修習できない事情があるときを除いて欠席として取り扱われません。
自由研究日は,司法修習生の自主性を尊重して定められたものですから,自らの自覚と責任において修習の実を挙げるために使うべき日であり,休暇ではありません。
なお,「自宅起案日」とは,指導担当者等が具体的な修習課題等を与え,司法修習生が当該日にその課題等を行うことを前提として,司法修習生が出席を要しないものとされる日をいい,当該課題等についての結果(起案等)を所定の日に提出する限り,自由研究日と同様に取り扱われますが,当該修習日は課題等を行うための日であるので,旅行は認められません。
また,裁判所では,夏季期間に一定期間休廷することがありますが,司法修習生には前述の通り休暇という概念はありませんので,実務修習期間中に配属裁判部が休廷期間に入ったとしても,その期間,司法修習生に休暇が与えられるということはありません。このことは,検察庁や弁護士会で実務修習を受ける場合や,12月29日から翌年1月3日までを除く年末年始の場合などでも同様です。
4 欠席と修習終了の関係
司法修習生がその修習を終了し,法曹資格を取得するためには,最高裁判所が定めた一定期間の修習を欠落なく終了すること及び考試に合格することが必要です(裁判所法67条1項)。したがって,1日でも欠席したときは,本来は,その理由を問わず,この修習期間に欠落を生じ,前者の要件を充足することができず,所定の修習期間で修習を終えることができないことになります。
しかし,このとおりとすると,酷な事態が生ずることから,司法修習生が病気その他の正当な理由によって修習しなかった所定の日数(45日以内)は,これを修習した期間とみなすこととしています(司法修習生に関する規則6条)。
したがって,正当な理由のある場合であっても,欠席の日数が所定の日数(45日以内)を超えた場合は,修習期間に欠落を生じることになります。
5 欠席と成績の関係
欠席日数が,各実務修習又は集合修習の修習単位のうち修習を要する日の2分の1を超えた場合,その修習単位の成績は,原則として「不可」となります(「司法修習生の規律等について」第5の10)。
6 欠席と正当な理由
修習を欠席する場合には,「欠席承認申請書」により,事前に承認を受けなければ成りません。欠席は,「正当な理由」によるものでなければ,承認されませんが,「正当な理由」の有無は,「一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律」18条及び19条の規定の趣旨を,司法修習生の地位,性質に適合する限度において参酌し,欠席を必要とする事由の程度と修習に影響を及ぼす支障の程度を比較考量して,その都度司法研修所長又は配属庁会の長が判断することになります。
「正当な理由」があると認められる例としては,次に掲げる場合があります。
① 司法修習生が負傷又は疾病のため療養する必要があり,修習しないことがやむを得ないと認められる場合
② 選挙権の行使,出産,交通機関の事故等により修習しないことが真にやむを得ないと認められる場合
③ ②に掲げる以外の特別の事由(特別の事由は,国家公務員の特別休暇の例による。)又は欠席を必要とする事由がある場合で,かつ,修習に著しい支障がないと認められる場合
7 修習内容と欠席
前項③の事由の場合,欠席を必要とする事由は同一であっても,修習内容によって欠席が承認されるか否かは違ってきます。次に掲げる①から③までは欠席承認についての目安ですが,これに該当すれば欠席が承認されるというわけではなく,あくまでも欠席を承認するか否かは,個別具体的な事案ごとに司法研修所長又は配属庁会の長が判断することになります。
① 選択型実務修習のうち,選択した全国プログラム及び個別修習プログラム等の修習の日の場合
修習期間が短いこと,カリキュラムを自分で選択したものであること,民間機関等外部機関での研修もあり得ることから,正当な理由によるとして欠席が認められる場合は非常に少なくなります。
○ 例外的に認められる可能性のある例
親族の葬儀,他に看病する者がいない近親者の看病の場合のほか,父母がそろって同伴を要する子の入学・入園試験及び入園(学)・卒園(業)式,本人の結婚式(参列者のために平日に結婚式を挙げなければならない特別の事由があり1日程度の欠席で済む場合などに限る。新婚旅行は含まれない。),友人の葬儀(本人との関係や通夜のみの参列の可否,修習内容,欠席日数などが勘案される。)など。
② 司法研修所における集合修習並びに分野別実務修習のうち,講義,見学その他の合同修習の日及び家庭裁判所における修習の日の場合
他の修習によってこれを補うことが困難であることから,修習に著しい支障があると判断される場合が多くなります。
○ 例外的に認められる可能性のある例
①に掲げた例のほかに,親族の結婚式(本人との関係や結婚式への関与の度合い,修習内容,欠席日数などが勘案される。)及び官公署に対する届出(夜間・休日提出及び郵送が可能なもの等を除く。)などがあります。
③ ①,②以外の実務修習の場合
他の日に修習することによってこれを補うことが可能であることも少なくないことから,①,②の場合よりは,正当な理由と認められる例が広がります。
○ 認められる例
①,②に掲げた例のほか,健康診断の受診,新婚旅行,友人の結婚式への参列,運転免許試験の受験(休日に受験可能な場合及び更新手続を除く。),就職活動のための欠席(日数については欠席の具体例⑧参照),資格試験の受験など。
○ 認められない例
引越,運転免許証の更新,結婚準備,ボランティアのための欠席など
8 欠席の具体例
① 結婚等に伴う欠席
土曜,日曜なども含む連続する5日間を限度として,欠席が認められます。結婚による欠席は,1階限りの取得で,分割することはできません。入籍又は結婚式などの早い方の日を基準(その時点で司法修習生であることが必要です。)とし,その日から4箇月稲井に限り認められます。ただし,4箇月の間に年末年始やゴールデンウィークなど長期の修習を要しない日が挟まる場合は,その期間内に旅行をすることが可能ですので,その前後の新婚旅行を理由とする欠席は認められないことがあります。
結婚式を理由とする欠席は,集合修習中は,「修習内容と欠席」の②のとおり,原則として認められません。
新婚旅行を理由とする欠席は,実務修習中は「修習内容と欠席」の③の場合以外は認められません。集合修習中の新婚旅行による欠席は認められません。
② 葬儀,服喪その他親族の死亡に伴い必要と認められる行事
国歌公務員の特別休暇の例によると,忌引が認められる親族の範囲は,配偶者,父母,子,祖父母,孫,兄弟姉妹,おじ又はおば,父母の配偶者又は配偶者の父母,子の配偶者又は配偶者の子,祖父母の配偶者又は配偶者の祖父母,兄弟姉妹の配偶者又は配偶者の兄弟姉妹,おじ又はおばの配偶者とされています。司法修習生についてもその範囲は同様です。このほかに,いとこ,いとこの配偶者,いとこの子及び友人の葬儀参列については,社会的儀礼を欠くことのないよう,必要最低限の日数で欠席が認められることもあります。
なお,法事等については原則として認められません。
③ 出産について
司法修習生の産前,産後について欠席が認められる機関は,国歌公務員の特別休暇の例と基本的に同義ですが,「司法修習生の規律等について」第5の10の定めには,留意する必要があります。
④ 近親者の看病
子どもや配偶者,同居の親族などであっても,他に看病する者がいない場合などに限られます。
⑤ ボランティア休暇
認められません。
⑥ ドナー休暇
認められます。
⑦ 健康診断
年1,2回程度の健康診断の受診(人間ドック等)のための欠席は,認められます。「修習内容と欠席」の③の場合以外は認められません。
⑧ 就職活動
弁護士事務所訪問等の就職活動のための欠席については,実務修習中に限り合計5日間までは認められます。遠方の就職先など交通事情を勘案しても8日間以上は認められません。欠席は「修習内容と欠席」の③の場合以外は認められません。
9 承認を得ない欠席
欠席する場合は,「欠席承認申請書」により,事前に承認を得るのが原則です。緊急かつやむを得ない場合(急病等)には,事後に承認を得ることになりますが,この場合には,速やかに電話等により,その修習単位を担う修習事務担当者等への連絡が必要になります。すなわち,連絡があり,それが承認されるまでは無断欠席として非違行為の対象にもなる状態になっていることに留意してください。
以上のとおり,遅刻や欠席の連絡は,単なるマナーの問題ではないことに注意してください。
欠席に正当な理由がないとして承認が得られなかった場合には,前述の通り修習終了の要件である修習期間に欠落が生じることになります。承認を得られない欠席は,そのこと自体が規律違反として,非違行為となります。
第4の2 司法修習生の欠席に関する地裁所長経験者の説明等
第5 司法修習生の逮捕及び実名報道(58期,67期及び71期)
第6の1 民間労働者と司法修習生との比較1/2
2 憲法11条は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と定め,憲法12条前段は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」と定めています。
3 詳細については「民間労働者と司法修習生との比較」を参照してください。
第6の2 民間労働者と司法修習生との比較2/2(業務が原因で心の病を発症した場合の取扱い)
第7 外国人技能実習生と司法修習生との比較等
第8 労働基準法1条2項及び最高裁判所長官「新年のことば」との比較
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
2 平成29年1月1日付の最高裁判所長官「新年のことば」
(1) 昨年4月に,ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する調査報告書及び最高裁判所裁判官会議談話が公表され,かつての開廷場所指定の運用が違法と判断されたことは御承知のとおりです。報告書は,司法行政事務に携わる職員に対し,人権に対する鋭敏な感覚を持って事務処理を行うよう求めていますが,このことは裁判所で働く全ての裁判官及び職員に対し向けられるべきものでもあります。長らく続けられてきた事務処理であっても,それが法令等に則ったものであるかを再確認する意識を失わず,併せて社会通念上是認されるものであるかといった観点にも目配りをして,改めるべきは躊躇なく見直すという姿勢が求められます。
(2) 最高裁判所長官「新年のことば」は毎年,裁判所時報1月1日号に掲載されています(「裁判所時報」参照)。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。