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行政機関の情報公開
第0 目次
第2 行政機関に対する情報公開請求の実績
第3 公文書開示請求によらない情報公開制度
第4 公文書の管理
第5 PKO日報問題に関する特別防衛監察結果報告で示された改善策
*0 公文書等の管理に関する法律1条は,「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである」と定めています。
*1 行政文書情報販売店HPにおいて,情報公開請求で入手した行政文書を販売している社会保険労務士がいます。
*2 法務省行政文書取扱規則(平成30年12月17日改正後のもの)を掲載しています。
*3 訟務事務に関する以下の文書を掲載しています。
① 訟務局訟務処理準則
② 法務局及び地方法務局訟務処理細則
③ 行政機関のための予防司法支援制度利用の手引
*4 国の幹部公務員(本府省課長相当職以上の公務員)については,氏名,生年月日,出身地,最終学歴,職歴等が情報公開請求により開示されます(「国の行政機関における幹部公務員の略歴の公表の在り方について」(平成19年5月22日付の総務省行政管理局長の通知))。
*5 内閣官房報償費の支出に関する判例として,最高裁平成30年1月19日判決があります。
*6 日弁連HPに「セミナー「公文書管理のあるべき姿~民主主義の根幹を支える基盤~」」(平成31年2月22日開催分)が載っています。
第1 行政機関に対する情報公開請求の一般的な説明
1 総論
(1) 行政機関及び独立行政法人(以下「行政機関等」といいます。)に対する情報公開請求の一般的な説明は総務省HPの「情報公開制度」に掲載されています。
また,平成13年度以降の施行状況調査結果が,「施行状況調査」に掲載されています(行政機関情報公開法23条及び独立行政法人等情報公開法24条)。
(2) 行政機関等の情報公開制度の制定及び見直しの経緯については,総務省HPの「法制定の経緯や見直しの経緯など」に掲載されています。
2 刑事事件に関する書類は適用対象外であること
(1) 刑事事件に関する書類は,「訴訟に関する書類」として行政機関情報公開法の適用対象外であり(刑事訴訟法53条の2第1項),不起訴記録も適用対象外です(平成13年諮問第246~263号(平成14年5月24日答申))。
(2) 適用対象外となる「訴訟に関する書類」の保管者は,裁判所(裁判官),検察官,司法警察職員及び弁護人に限定されません(平成13年答申第57号(平成13年11月27日答申))。
3 情報公開・個人情報保護審査会
(1) 行政機関等の不開示決定又は部分開示決定に対して不服申立てをした場合,行政機関等は総務省情報公開・個人情報保護審査会(平成28年3月31日までは,内閣府情報公開・個人情報保護審査会)(以下「審査会」といいます。)に諮問をした上で,審査会が行政機関等に答申を出します。
審査会の場合,インカメラ審理(審査会だけが文書等を直接見分する方法により行われる非公開の審理)が認められていますから,審査会は,不開示部分を閲覧した上で,不開示決定又は部分開示決定の適法性を判断します(情報公開・個人情報保護審査会設置法9条1項及び2項)。
(2) 審査会の活動概況については,平成13年度から平成27年度までの分が内閣府情報公開・個人情報保護審査会HPの「活動概況」に,平成28年度以降の分が総務省情報公開・個人情報保護審査会HPに掲載されています。
(3) 総務省情報公開・個人情報保護審査会の「答申選」には,同審査会の答申の中から,行政機関,独立行政法人等及び地方自治体において参考となると思われる部分が抜粋されています。
(4) 総務省HPに情報公開・個人情報保護審査会運営規則が掲載されています。
(5) 総務省行政管理局情報公開・個人情報保護推進室が作成した,平成29年3月24日付の「情報公開法に係る主な答申等について」を掲載しています。
4 情報公開請求訴訟
(1) 行政機関等の不開示決定又は部分開示決定に対しては,地方裁判所に対して取消訴訟を提起することができます。
ただし,インカメラ審理に関する規定(民事訴訟法223条6項)が情報公開法にありませんから,裁判所は,不開示部分を閲覧できないまま,不開示決定又は部分開示決定の適法性を判断することとなります(最高裁平成21年1月15日判決参照)。
(2) この場合のインカメラ審理とは,裁判所だけが文書等を直接見分する方法により行われる非公開の審理をいいます。
(3) 情報公開請求訴訟においてインカメラ審理を導入すること等を内容とする情報公開法改正案は,平成23年4月22日に第177回通常国会に提出された(内閣官房HPの「国会提出法案」参照)ものの,平成24年11月18日,衆議院解散に伴い廃案となりました(総務省HPの「情報公開法の制定・施行に係る主な経緯」参照)。
(4)ア 平成27年3月26日付の最高裁判所事務総局行政局第一課長の書簡によれば,情報公開請求訴訟を提起したり,上訴したりした場合,その時点で,最高裁判所事務総局行政局第一課事件係に対して受理報告がされます。
また,第一審の弁論終結時に原告に訴訟代理人が選任されている場合,第一審事件又は上訴事件が判決により全部終局した時点で,最高裁判所事務総局行政局第一課事件係に対して終局報告がされます。
イ 平成26年3月25日付の最高裁判所事務総局行政局第一課長の書簡に基づき,行政事件,労働事件及び知財事件に関する事件報告が大幅に簡素化されました。
5 裁判官の生年月日は開示されること
最高裁判所に対して裁判官の略歴等の情報公開請求をしたり,内閣官房内閣総務官に対して裁判官の履歴書等(閣議書添付文書)の情報公開請求をしたりすれば,判事補を含むすべての裁判官の生年月日を開示してもらえます(「裁判官の略歴等の開示について(依頼)」(平成28年6月16日付の最高裁判所事務総局人事局長の文書)のほか,平成28年6月28日付の内閣総理大臣の裁決書参照)。
6 公文書等の管理に関する法律1条
公文書等の管理に関する法律1条は,「この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。 」と定めています。
第2 行政機関に対する情報公開請求事件の実績
1 行政機関の判断が変更された事例
私が行った,行政機関の不開示決定又は部分開示決定に対する不服申立ての結果,行政機関の判断が変更されて開示範囲が拡張された事例として,例えば,以下のものがあります。
(1) 法務省関係
ア 内閣府情報公開・個人情報保護審査会の答申
① 平成26年度(行情)答申第46号(平成26年5月22日答申)
→ 法務局の法律意見照会(平成29年4月以降の予防司法支援制度)の一部が追加で開示されるようになりました。
② 平成26年度(行情)答申第252号(平成26年10月9日答申)
→ 法務省の「行政事件訴訟の手引」の一部が追加で開示されるようになりました。
③ 平成26年度(行情)答申第253号(平成26年10月9日答申)
→ 大阪法務局の「債権管理に関する訟務ガイド(平成22年1月)」の一部が追加で開示されるようになりました。
④ 平成26年度(行情)答申第310号(平成26年11月17日答申)
→ 大阪法務局の「平成24年度訟務担当者協議会に関する資料」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑤ 平成26年度(行情)答申第475号(平成27年2月17日答申)
→ 法務省の「国家賠償請求の手引(第4版)」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑥ 平成26年度(行情)答申第476号(平成27年2月17日答申)
→ 法務省の「徴収訴訟の手引(6訂版)」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑦ 平成26年度(行情)答申第477号(平成27年2月17日答申)
→ 法務省の「労災訴訟の手引(第3版)」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑧ 平成26年度(行情)答申第478号(平成27年2月17日答申)
→ 法務省の「課税訴訟の手引(6訂版)」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑨ 平成26年度(行情)答申第479号(平成27年2月17日答申)
→ 法務省の「公用負担関係訴訟の手引(第2版)」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑩ 平成26年度(行情)答申第480号(平成27年2月17日答申)
→ 法務省の「国有財産訴訟の手引(第3版)」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑪ 平成27年度(行情)答申第131号(平成27年6月17日答申)
→ 法務省の「債権管理訴訟の手引」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑫ 平成27年度(行情)答申第311号(平成27年9月10日答申)
→ 大阪法務局の「本訴事件処理要領(平成25年3月改訂)」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑬ 平成27年度(行情)答申第568号(平成27年12月15日答申)
→ 大阪法務局の「訟務事務の手引(平成20年3月)」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑭ 平成27年度(行情)答申第726号(平成28年2月9日答申)
→ 法務省の「平成24年度新任課付・管理官付・部付協議会配付資料」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑮ 平成27年度(行情)答申第792号(平成28年3月1日答申)
→ 法務省の「矯正国賠訴訟の手引」の一部が追加で開示されるようになりました。
⑯ 平成27年度(行情)答申第826号(平成28年3月14日答申)
→ 法務省の「訟務事務入門及び同入門(書式編)」の一部が追加で開示されるようになりました。
イ 総務省情報公開・個人情報保護審査会の答申
① 平成28年度(行情)答申第57号(平成28年5月18日答申)
→ 法務省の「和解・調停の留意事項」の一部が追加で開示されるようになりました。
② 平成28年度(行情)答申第59号(平成28年5月18日答申)
→ 裁判所,法務省及び検察庁の職員並びにそれらの機関のOBに対してだけ販売されている「司法大観(裁判所の部)」は「行政文書」に該当するから開示すべきであるという答申が出ました。
ただし,裁判官の出身地等は不開示のままと思われます。
→ 審査会の答申と異なり,平成28年7月28日付の補充理由説明書によれば,最高裁事務総長は,税別2万6667円(税込み2万8000円)で販売されている司法大観(裁判所の部)は「司法行政文書」に該当しないと主張しています。
また,最高裁判所において,司法大観は,最高裁判所に挨拶等のために来訪する予定の者及び各種協議会等の出席者の円滑な案内等のために,経歴や顔写真を事前に確認する等の目的で使用されているそうです。
→ 法務大臣は,平成28年10月3日付の行政文書不開示決定通知書において,司法大観は法5条2号イの不開示情報に該当するとして,改めて不開示決定を出しました。
→ 平成28年度(行情)答申第753号(平成29年2月27日答申)により,司法大観は全部不開示となりました。
③ 平成28年度(行情)答申第164号(平成28年6月30日答申)
→ 法務省の「自動車損害賠償訴訟事務提要(改訂版)」の一部が追加で開示されるようになりました。
(2) 検察庁関係
① 平成26年度(行情)答申第61号(平成26年5月29日答申)
→ 「大阪高等検察庁執務規程」の全部が開示されるようになりました。
② 平成26年度(行情)答申第65号(平成26年5月29日答申)
→ 「最高検察庁執務規程」の全部が開示されるようになりました。
* 地検の執務規程は,「検察修習」に掲載しています。
2 その他
(1) 私が,裁判官の履歴書に関する内閣官房内閣総務官の部分開示決定に対する審査請求(平成28年度(行情)答申第87号)を行ったことと関連して,最高裁判所事務総局は,平成28年6月16日,裁判官の「出生の年月日」を開示することを決定しました。
(2) 私が獲得した,平成28年6月28日付の内閣総理大臣の裁決書には,裁判官の履歴書の「現住所」欄を開示するという記載がありますものの,「現住所」欄はそもそも空欄ですから,裁判官の現住所を開示するという趣旨のものではありません。
第3 公文書開示請求によらない情報公開制度
栃木県HPの「公文書開示請求によらない情報公開制度」が参考になります。
第4 公文書の管理
2 クローズアップ現代の「公文書は誰のものか~問われる1400万件の管理~」を見れば,公文書管理の問題点が分かります。
3 日弁連は,平成29年4月28日,「公文書の安易な廃棄を防止し電子情報も含めた公文書管理の徹底を求める会長声明」を発表しました。
第5 PKO日報問題に関する特別防衛監察結果報告で示された改善策
① 黒江哲郎 事務次官:停職4日
② 岡部俊哉 陸上幕僚長:減給1か月(10分の1)
③ 堀切光彦 前陸上自衛隊中央即応集団副司令官:停職5日
④ 牛嶋 築 前陸上幕僚監部運用支援・情報部長:停職3日
⑤ 辰己昌良 統合幕僚監部総括官:停職2日
〇平成29年7月28日公表の「特別防衛監察結果報告」15頁及び16頁には,「第7 改善策」として以下の記載があります。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。